連載・特集

2022.7.3みすず野

 家を取り巻く、庭というより空いたスペースには、植えた覚えのない木々や花が生えている。木はどんどん成長して手に負えなくなり、業者にせん定をお願いしている◆最も大きくなったのは松で、屋根の高さを超えた。垣根代わりに置いてあった岩の小さな窪みから生えてきたのは覚えているが、それが岩を割って根を張った。ほかにモミジが2本、背丈を上回る。ケヤキやクワもある。サンショは何株あるかわからない。気付くとこうなっていた◆どれも種から根を下ろしたらしい。小鳥が運んできたのかもしれない。道路にはみ出た枝はもちろん切るが、ある程度大きくなると幹に刃をあてるのは気が進まない。花も同じでホタルブクロが薄紫色の花をいくつも咲かせている。花期が終わるまで手を付けたくない◆チェコの作家、カレル・チャペックは「素人園芸家になるには、ある程度、人間が成熟していないとだめだ。言いかえると、ある程度、おやじらしい年配にならないとだめだ」(小松太郎訳『園芸家12カ月』中公文庫)という。園芸家ではないし未成熟だが、花木を伸び放題にしているのはそんな年になったということか。

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