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松本・東町の東家で無料譲渡会「もってけ市」 心の交流育む

軒下に並べられた無料譲渡用の物品を囲みながら交流する出品者や来訪者

 松本市大手4の国道143号沿い(東町)の旧ゲストハウス「東家」で毎月1回、「もってけ市」と銘打ったささやかな無料譲渡会が開かれている。誰かにとっては不要になった日用品を軒先に並べ、必要とする人に自由に持ち帰ってもらう試みだ。消費や使い捨てが当たり前の昨今、物の循環を促しつつ、見返りを求めない人と人との交流の場にもつなげている。

 毎月原則第2日曜日、玄関前の5平方メートルほどの軒下が会場だ。東家のスタッフや友人知人、近隣住民らが持ち寄った物を並べられるだけ並べる。食器、洋服、書籍やCDから「ちょっとだけ使った整髪剤」までさまざまだ。午前11時の"開店"と同時に市民や観光客が立ち寄り、じっくりと品定めしてお気に入りを見つけていく。
 5月の開催日に立ち寄った市内の女性(52)は1冊の本を選び「何だかうれしい。自分も捨てるには忍びない品を持ち寄りたい」と笑顔を見せた。
 以前は安価で販売するフリーマーケット形式だったが2月に変更した。都内のJR国立駅前で定期開催される「くにたち0円ショップ」などにヒントを得たほか「ご近所さんに野菜をもらったり誰かにお裾分けしたりする時の幸せな気持ちを広げたかった」と東家オーナーの江刺里花さん(27)は話す。立ち寄った人が出品者らとの交流を楽しみながら大切そうに物を選ぶ姿に「温かな心の交流」を感じるという。
 誰が何に価値を見いだすか分からない面白さもある。毎月古書を出品している同市の学校事務・井上聡大さん(34)は「古いレントゲンのネガ」が出品され、新たな持ち主に渡ったエピソードを持ち出し「捨てられる運命だった物が誰かにはすごく魅力的だったりする。出合ってみるまで未知数ですね」と目を細めていた。

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