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医療ケア児の家族支援 安曇野穂高の仲谷さん 当事者集い情報発信へ

ピアサポートを始めた仲谷さんと、長男の悠生ちゃん

 安曇野市穂高の仲谷さやかさん(43)が、日常的な医療的ケアが必要な子供「医療的ケア児」や病児、障害児の家族を支える「ピアサポート」を始めた。同じ立場の人同士が支え合う活動で、仲谷さんも先天性心疾患の両大血管右室起始症を患う長男・悠生ちゃん(2)の医療的ケアを行う「医ケア児ママ」だ。当事者が集う場をつくり、今後は情報発信などにも取り組む。

 悠生ちゃんは合併症で肺動脈弁欠損や気管支軟化症なども患う。人工呼吸器を使っているため、仲谷さんは毎日たんの吸引や鼻のチューブからの栄養注入などを行っている。
 悠生ちゃんが退院して在宅でのケアが始まってからは、精神的に追い詰められる日々が続いた。両親は近くに住んでいたが「身内だからこそ頼れない。『全部自分でやらなければ』とかたくなになっていた」と振り返る。
 昨年から悠生ちゃんと市内の多機能型事業所に通い始めたことで気持ちが外に向き始め、ピアサポートに興味を持った。まずは何が求められているかを知るため、2~4月に母親から話を聞く会を開催した。相談相手がいないこと、子供を連れた外出に制限がある一方、行政サービスを受けるためには自ら動かなければいけないことなど、共通の困りごとを実感した。
 聞き取りから、当事者が集まって語り合う「カフェプロジェクト」、地域住民と交流し、身近に医ケア児などがいることを知ってもらう「知ってもらおうプロジェクト」、使いやすい公園などの情報を発信する「地域情報発信プロジェクト」の三つに取り組むことにした。当事者同士の「おしゃべり会」はすでにオンラインで2回開催。仲谷さんは「家族がリラックスできる環境がつくれれば」と願う。
 現在は仲谷さんを中心に6人ほどで取り組んでいる。