政治・経済

松本城本丸に防火水槽設置へ 遺構・景観配慮し天守保護

松本城本丸庭園の北側園路。工事のため閉鎖を周知する看板が掲げられた(10日)

 松本市が進める国宝松本城の防火対策で、本丸庭園北西の非公開エリアに防火水槽(貯水槽)を設置する工事が6月に始まる。市は昨年度までに大天守2階に防火設備のスプリンクラーを設置しており、本年度は防火水槽とポンプ室、送水設備を設置することで稼働できる状態にする。庭園北側の園路は工事の準備のため10日から27日まで閉鎖する。

 平成31(2019)年にパリのノートルダム寺院、同じ年に那覇市の首里城で火災が発生し、ともに世界遺産が消失したことを受けた文化庁の防火事業の一環で実施する。防火水槽を設置するため昨年に試掘したところ遺構の存在が分かり、盛り土をした上で防火水槽を設置することにした。貯水槽の高さは3メートルほどで約30トンの水道水をためる。
 周辺にはポンプ室や送水設備を設置するが、一般の観光客からは見えない位置にある。ただ、周囲の景観に配慮して外壁は目立たない色を採用する。天守につなげる配管はすでに掘削した場所に送水管を埋め、新たな掘削はしない。工事費は約1億6600万円で、年度内に完了する見込み。
 市は昨年度までの防火対策で大天守にスプリンクラー72カ所を設置したほか、屋内外の消火栓14台を1人で使えるものに取り換えて早期消火の体制を整えた。5棟ある天守の煙感知機は最新式にし、どの場所で火災が発生したのかすぐに分かるシステムを導入している。
 市文化財課の竹内靖長・城郭整備担当課長は「後世に松本城を残していくために必要な工事。防火設備は必要不可欠なので、理解を求めたい」と話している。