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信大病院で次世代がん治療の治験開始へ 難治性骨肉腫など対象に

記者会見する中沢教授(中央)ら

 信州大学(本部・松本市旭3)は9日、小児を含む難治性の骨肉腫、軟部肉腫、子宮がんや卵巣がんなど婦人科悪性腫瘍の患者を対象に、がん免疫細胞療法に用いる新たな「CAR―T細胞」の医師主導治験を医学部付属病院で開始すると発表した。最も有望な次世代がん治療法の一つで、将来的な製品化を目指す。信大によると、固形がんを対象に薬事承認されたCAR-T細胞は世界的にも例がない。

 医学部小児医学教室の中沢洋三教授と学術研究・産学官連携推進機構遺伝子・細胞治療センターの柳生茂希教授らのグループが、企業と共同で研究・開発に取り組む。
 CAR-T細胞療法は、患者の免疫細胞を取り出し、がん細胞への結合力と攻撃力を高める遺伝子を組み込み体内へ戻す治療法。同グループは遺伝子改変に一般的なウイルスを用いず、効率的・安価・安全な独自手法で行う。
 国内で初めてがん細胞の増殖に関わるタンパク質HER2を標的とし、米国でウイルスにより作製したHER2標的のCAR-T細胞で臨床試験結果が良好なことを踏まえて研究を進めてきた。動物実験などで効果の持続性に優れ、固形がんにも有効なことが明らかになったという。
 治験製品の製造・品質管理を含め大学単独で行うことが特徴で、信大では昨年開始した骨髄系腫瘍対象の治験に続く取り組みとなる。治験届が受理されたことを受けて記者会見が開かれ、中沢教授は「効果と安全性が確認され、他のがんにも可能性が期待できれば、疾患の適応を拡大していくことが理想」と話していた。

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