連載・特集

2022.5.16 みすず野

 松尾芭蕉が奥羽・北陸行脚へ江戸をたった元禄2年3月27日は、陽暦で1689年5月16日。きょうは「旅の日」だとか。旅行ジャーナリストらでつくる日本旅のペンクラブ(会長・西行、副会長・芭蕉)が昭和63(1988)年に定めた◆同行した門人の曽良に心ひかれる。先月の小欄で先輩記者が紹介している通り、費用調達や宿の手配など旅の面倒一切をこなした。きちょうめんで、歌枕にも詳しくて...もしも彼がいなかったら「奥の細道」は生まれただろうか。信州諏訪の人と聞くと、いっそう親近感が湧く◆曽良の旅日記をたどった金森敦子さんの著書(法政大学出版局)に〈芭蕉に取り巻きがいると、曽良は体調不良になる傾向〉とある。他の門人よりも師匠のことを一番分かっているのは自分だ。そばにこの人がいるから頑張れる。思慕が人を強くした。旅がそんな気持ちを育んだのでは。旅先で2人が過ごした濃密な時間を思う◆元禄7年5月、箱根で上方へ向かう芭蕉を見送ったのが今生の別れとなった。61歳で幕府巡見使の随員に加えられ、九州壱岐で宝永7(1710)年に病死したとされる。5月22日が忌日という。