連載・特集

2022.5.12みすず野

 どうして松本へ?初対面の人に自己紹介をすると、決まってこう聞かれる。北杜夫を読んで旧制高校生のバンカラに憧れまして―と返答も判で押したよう。それだけではないのかもしれない...残雪の山並みが心に浮かぶ◆映画だ。同郷の武田鉄矢さんが教師役だった。ネットで調べると...あれ?ロケ地は秋田の角館...いや、公開の翌年テレビドラマが放映された。古谷一行さん主演で、信州高遠が舞台。こっちだ!ごっちゃになっている。いずれにしても郷里で、花咲く季節の山に雪が残る風景は見られない。こんな町に行ってみたいと思った◆松本で撮影された映画2本が封切りとなる。「流浪の月」は本屋大賞の原作を読んだので、あの世界観がどう描かれているか。「太陽とボレロ」は「熱中時代」いらい憧れる水谷豊さんがメガホンを取った。記事にある「楽都松本にふさわしい映画ができた」の談話がうれしい◆「思えば遠くへ来たもんだ」―中原中也の詩句にちなんだ歌も心に染みたのだろう。どこへも行っていないのに「遠くへ来た」ような気持ちになった。二つの作品が描く松本の街や、劇中の音楽が観客の心に残るといい。