「まん延防止」適用に事業者苦悩 自主休業する飲食店も

まん延防止等重点措置が27日から県内に初適用されることが決まった。影響を受ける飲食店や関連事業者からは「すでにまん延している」「時短営業では防げない」など、そのタイミングや効果には疑問の声が聞かれる。一方で、先々の事業継続や社会経済活動の維持を見据えて、自主的に休業したり、酒類提供が可能でも控えたりと、踏み込んだ対応を選択する事業者もいる。
居酒屋・いろりにんにく屋(松本市大手2)は29日からの休業を決めた。今でも少ない来店客がさらに減って時短営業でも赤字が拡大する恐れがあるという。木下敬一社長は、店と従業員へのダメージを最小限にして将来につなげる苦渋の決断と先を見つつ、「雇用調整助成金があるうちに感染が収まらないと」と不安を口にした。
時短要請に応じる飲食店の中でも営業形態には差が出そうだ。三平食堂(塩尻市大門七番町)はまん防措置以前から営業時間を午後8時までに短縮。酒類提供は県認証店ではないため休止する。松本市中心街で薫製料理店とバーを経営する砂子慎哉さんは、2店が県認証店だが営業は8時まで、酒類は提供しないと決めた。「感染が拡大する限り、店側の努力で事態を好転させるのは困難」と話す。
業務用酒類販売の大月酒店(征矢野1)は、昨年の緊急事態宣言時には売り上げが従来の8割減に落ち込み、今回も同程度の影響を覚悟する。大月弘士社長は「制約と補償は一体のはず。このままではやっていけない」と危機感を隠さない。
もともと人流が少ない冬季の間に感染が落ち着くことを期待する声は大きい。安曇野市観光協会長を務める、南安タクシー(安曇野市豊科)の小岩井清志社長は、4月から神事が本格化する穂高神社の式年遷宮などを念頭に「観光ハイシーズンまでには収まってほしい」と願う。