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コトヨウカ「ワラ馬」新調へ 松本市立博物館 伝統受け継ぐ

 松本市内で毎年2月8日に行われる国の選択無形民俗文化財の伝統行事「コトヨウカ」を伝えるため、移転新築のため休館中の市立博物館(丸の内)に展示されてきた「ワラ馬」が、新しい博物館での展示に向けて代替わりする。平成8(1996)年に入山辺地区の厩所常会から寄贈されたワラ馬で、今年のコトヨウカで作られるワラ馬が新たに寄贈され、代わりに古い馬が「貧乏神」を乗せて地区を引き回され、河原で無病息災を願って燃やされる。

 コトヨウカは、春の農事の始まりに合わせて貧乏神や疫病神を払う行事で、市内では山辺や両島、今井などで行われている。厩所では「ジジ」「ババ」と呼ぶ疫病神を模した2体のワラ人形を乗せたワラ馬を作り、住民が長い数珠を持ってワラ馬の周囲を囲む数珠回しを行った後「貧乏神追い出せ、貧乏神追い出せ」の掛け声とともに、河原に運んで燃やすのが習わしだ。
 古いワラ馬は目の部分が取れるなど劣化が進んでおり、同館は新博物館の常設展で引き続き行事を伝えていくため厩所常会に製作を依頼した。新博物館の開館に向け、同館では専門家による所蔵品の整理や修復、複製などが進められているが、展示品を市民が手掛けるのはワラ馬だけという。学芸員の本間花梨さんは「ただの複製ではなく、実際の行事で住民の方々が祈りを込めて作るものだからこそ意味がある。協力がありがたい」と話す。
 20年以上前に作られたワラ馬を一度地区に戻すことは、地区にとっても今との作り方の違いを見直し、昔ながらの伝統を受け継ぐ一助になりそうだ。厩所の中野博充常会長(73)は「古いワラ馬の長年の苦労をねぎらいつつ、伝統を継承した新しいワラ馬を心を込めて作りたい」と話していた。