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匠の技 次代へつなぐ 南木曽 故人の岩田さん「花馬」「置物」 岡本さん、佐藤さんが再現

岩田さんの思いを受け継いで製作した木製玩具を手にする岡本さん(左)と佐藤さん

 干支にちなんだ置物や郷土玩具「花馬」の作り手として知られた南木曽町吾妻の木工職人の故・岩田四郎八さん=享年82=が手掛けた工芸を伝え残そうと、その技を再現した置物と花馬の製作に同町読書の男性2人が奮闘している。岩田さんの職人魂を受け継ぐ担い手が見つかるまでのつなぎ役として、故人が注いだものづくりの情熱に光を当て続けている。

 岩田さんは60年以上木製玩具作りを手掛けた。平成元(1989)年から作り始めた代表作の干支の置物は、おにぎり形の愛らしいデザインが好評で、年末には買い求める人が自宅に訪れるほどだった。
 つなぎ役に名乗りを挙げたのは岡本智治さん(65)と佐藤裕宣さん(70)。技にほれ込んだ岡本さんが生前の岩田さんに後継者へ伝えるよう訴えたがかなわず、令和2年2月に他界。地元の木工業者にも依頼したが難航し、岩田さんの親族の了承を得たおととし末から自作を始めた。岡本さんが花馬を手掛け、共感した佐藤さんが昨年11月から干支の置物を作っている。岩田さんが作り方の資料を残していないため、作品を手本にしている。
 花馬は色鮮やかな色紙で稲穂を表す「花」で飾られた同町田立の五宮神社例祭に登場する木曽馬をあしらった工芸品だ。岡本さんは試作を重ね、難しかったという「木曽馬のぽてっとした体形と丸みを帯びた表現」ができたとして、昨秋の例祭で初めて販売した。
 干支の置物は糸のこぎりを使って三角形を切り出し、一筆描きの要領で干支の絵柄に切り抜く。華やかなちりめんをあしらうのがポイントで、佐藤さんは着物の帯の端切れを活用している。自宅庭で製作しており、佐藤さんは「先人に近づける品を作っていきたい」と意気込む。
 正月三が日には五宮神社で販売された。松本市深志2の井上で19~25日に開かれる県伝統工芸品展への出展も決まった。2人は今後も研さんを重ねていく。岡本さんは「技をつなぐ意義は大きく、粘り強く続けて後進に託したい」と話している。