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藍の型絵染を守りたい 濱怜史さん「浜染工房」の4代目継ぐ

若い世代にも藍染めの魅力を伝えていきたい―。そんな思いから開設した「藍のかおり工房」に立つ怜史さんと綾さん

 県内で唯一、藍の型絵染を手掛ける松本市庄内2の「浜染工房」4代目に、3代目濱完治さん(72)の長男・怜史さん(35)が就いた。県外で会社勤めをしていたが、創業110年の家業を絶やすわけにはいかないと一大決心。昨年11月に故郷に戻り、父の背中を追いながら修業を重ねる。藍染めの良さを若い世代にも伝えようと、新たに「藍のかおり工房」も開設した。妻の綾さん(36)と二人三脚で魅力発信に奔走する。

 かおり工房は浜染工房の南隣。藍染めの美しさや奥深さにじかに触れられる場所を―と帰郷に際して綾さんと企画した。衣類から小物まで工房製の40~50種類を並べ、近く藍染め体験の受け入れも始める。伝統工芸を「知ってもらう場、親しんでもらう場にしたい」と話す。
 一人息子として生まれたが、継承を求められたことはない。大量生産・消費の時代にあって、生涯をかけて手仕事を究める職人の世界の厳しさを誰より両親は知っていた。「自分の選んだ道を自由に歩んでくれればいい」。そんな親心を聞かされたこともある。大好きな工学の道を選び、松本工業高校から諏訪東京理科大に進学。卒業後は県外の情報通信業に就職した。
 しかしいつからか、家業を意識するようになったという。創業明治44(1911)年の伝統、いつ何時も妥協せず、黙々と正直に仕事してきた父の姿...。一朝一夕にはいかない蓄積を守りたいとの思いが募り、時間を見つけては帰省して下積みするようになった。綾さんの理解と後押しもあり、13年勤めた会社を昨秋退社した。
 完治さんは「うれしさと心配が半々」と本音を漏らしつつ「一つでも多くのことを伝えて長く見守りたい」と話す。
 藍の管理、のり作り、反物への型つけ...。習得する工程は多く道のりは長いが、怜史さんは「藍染めの良さを再認識する毎日。覚悟を持って受け継いでいきたい」と話している。