連載・特集

2022.1.14みすず野

 松本市の縄手通りを西から東へ抜けると市営上土団地がある。大正2(1913)年建築の旧松本市役所を模した洋風建築だ。大正ロマンのまちづくりを進めてきた上土町の皆さんの意向をくみ、平成12(2000)年に完工した◆昭和32(1957)年1月の市議会。時の松岡文七郎市長が現在の丸の内に市庁舎を移転新築する議案を提出した。近隣13カ村との合併後の大きな課題だった。しかし女鳥羽川を挟んで北部と南部の市議が対立する。市案に賛成の北部派に対し、南部派は深志神社東側(現まつもと市民芸術館)への移転を求めた◆論議のさなか、松岡市長は1月18日の執務中に脳出血で倒れる。下条寛一助役が臨時会を招集するも、市長は23日午後10時すぎに死去、同日午後11時35分に再開した本会議は翌日の午前5時すぎの採決の結果、現在地への市庁舎建設が決まった◆歴史的な政治決着から65年。現市役所の建て替えを巡る新たな議論が始まった。市は本庁舎をスリム化し、南松本分庁舎や松本駅前センターなどに機能を分散化させる構想を打ち出した。時代に即した市民サービスの向上をどう図るのか。まだ見えない。