連載・特集

2021.12.4みすず野

 開通したばかりの国道19号桜沢バイパスを車で走ってみた。塩尻市の宗賀と贄川を結ぶ延長2.1キロで、新設した桜沢トンネルがその大半を占める。1498メートルだから特別長くはないが、内壁が明るい灰色で、その新しさがハンドルを軽くするようだった▼1980年代から90年代にかけて、大型公共事業が次々と計画、着工された。地域紙の取材エリアは限られているが、それでもあちこちでつち音が響いていた。中でも、県内を南北に貫く長野道の建設は、長期間にわたって取材対象だった▼印象に残るのは岡谷高架橋と塩嶺トンネル。高架橋は高さ60メートルの橋脚に取り付けられた工事用エレベーターで昇った。金網張りで周りが見える。この怖さは忘れられない。塩嶺トンネルの貫通は、締め切りに間に合わせようと抗口まで1キロほど走った。フィルムカメラ、原稿は手書きでファクスの時代▼建設手順や工法を記事にするには取材で得た専門的な知識をわかりやすい言葉で言い換えなければならない。これが難しかった。時には理解が及ばず、ずさんな構造の頭を嘆きながら悪戦苦闘の日々だった。今だとコロナの記事がそうだろうか。