連載・特集

2021.12.25みすず野

 生まれ育った家には神棚と仏壇があった。だからいま住んでいる家も、当然のように置いてある。深く考えたこともなかったが、複数の信仰対象が併存しているのを外国の人に説明するのは難しいのかもしれない。そうではあるが、神棚と仏壇を同じ部屋に置いてはいけないと教わってきた▼建築家の渡辺武信さんは「日本における神仏は、一つの家を微妙に住み分けて同居しているのであり、人間がそれら神仏の居場所を適切に調整して安住の地を割り当てつつ、ご利益の方も適当に使い分けている、というのが日本人の特殊な信仰のあり方であると思われる」(『住まい方の演出』中公新書)という▼同書は神棚や仏壇がないという家は、少なくないようだとも。特に集合住宅に住む若い世代だと、設置する必要がない場合もあるだろう。1年を通してみると、仏壇の前で手を合わせる機会は何回もある。神棚は年末年始以外にあるだろうか▼家族の入学・就職試験時などでは神頼みをした。神社のお札を納めたり初詣で買った破魔矢を飾ったりはするがあとは宝くじを供えて当選を願うくらいだろうか。これではご利益も限られそうだ。

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