連載・特集

2021.12.1みすず野

 師走と聞くと何となく落ち着かない心持ちになる。「師(僧侶のことらしい)も走る」の字面が一層、焦燥感をかき立てる。山本周五郎は随筆で、その気分を〈最後の列車に乗りそこなうのではないか〉と例えた◆月々に先送りした仕事を片付けなければならなかったり、書き入れ時だったり。何かと気ぜわしい。新聞社に勤めていると「今年も残すところ―」と聞くたび、原稿の締め切りを言われているようで気がめいる。正月もクリスマスも、子供時分に「♪もういくつ寝ると」と指を折った心躍りからは程遠い◆年末年始の約束を交わす時期でもある。2、3年ぶりに親の顔を見に行くとか、孫が来ると楽しみにしておられる方も多かろう。思い浮かぶ懐かしい笑顔が日々の活力源になる。旅行も帰省もまだ早いと考える人や、筆者のように予定が無い人は日頃の積ん読や運動不足を少しでも解消する機会にしよう◆これまで当たり前だと思っていたことが、必ずしもそうではないと気づかされた2年半でもあった。忙しいなかにも心の余裕を持ちたいものだ。街が慌ただしさを増す。車の運転にはくれぐれも気を付けていただきたい。

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