連載・特集

2021.11.28みすず野

 青物が残り少なくなった塩尻市内の畑で、野沢菜を収穫している人たちを見かけた。青空が広がっていたが風が冷たく、防寒用の上着のフードをかぶって包丁を手に一株ずつ丁寧に切り取っていた。例年より遅めの収穫かなと思ったが、あちこちの畑に野沢菜がある▼県農ある暮らし相談センター農業アドバイザー・山村まゆさんの小紙の連載「農ある暮らし」に、近年は12月に野沢菜を漬ける家庭が増えているようだとあった。温暖化の影響で、早く漬けるとすぐ酸っぱくなるのと、何度か霜に当てたほうがおいしいからだという。長いこと「勤労感謝の日」の前後に漬けると思っていた▼野沢菜は家庭ごとにそれぞれの味があり、ご飯に合う漬物としてだけでなく、信州の長い冬のお茶請けとして親しまれてきた。ただ本格的な漬け込みはなかなか大変で、最近は切り漬けも普及しているようだ。これは酒のさかなとしてもうまい▼冬至に向かい少しずつ日が短くなる。夕方にはまだだいぶ時間があったが、畑で黙々と収穫作業をする人の影が長く伸びていた。その背中に「お宅の野沢菜漬けはどんな味ですか」と、尋ねてみたくなった。