連載・特集

2021.11.23 みすず野

 御朱印ブームと聞くようになって5、6年たつ。数年前に京都のお寺だったか。それなら集めてみようと思い立って御朱印帳を買い求めた。コロナ禍で遠出がかなわなくなり、あれから一つ二つしか増えていない◆明治6(1873)年生まれの登山家・木暮理太郎は若いころ敬神の滝から木曽駒の頂への山中で、武蔵坊弁慶みたいな大入道に出くわした。全国の山や社寺を巡っているといい、背負った笈の中に厚さ2寸(約6センチ)近い〈捺印帖〉が10冊!家にもう30冊と聞かされ、ぼうぜんとする。『山の憶い出』◆書店巡りの「御書印」なる企画や、松本城の「御城印」が人気だと紙面で読んだ覚えがある。観光地でスタンプ台を見掛けると決まって押す。この習性を利用したスタンプラリーは今やデジタルだ。スマートフォンでQRコードを読み取る。御朱印もスマホになったら、ありがたみが薄れる気がする◆わが家の前が無人の神社なので休みの日に落ち葉をはいていると時折、旅の人から「御朱印はありませんか?」と尋ねられる。「もうかりますよ」と氏子総代に教えたいところだが、まずは観光客が以前並みに戻ってからだ。