連載・特集

2021.11.2みすず野

 職場の庭のイロハモミジの木の南半分が赤く色づいた。日当たりの加減だろう。北半分も黄色に変わり始めているが、中心部の葉は緑のままだ。季節の移ろいを目で追いながら仕事ができる環境はありがたい◆穂高神社で菊の花が美を競っている。愛好家でつくるあづみ野秋香会の前会長・塩入登さん(80)が菊作りの要諦を「まずは土づくりだ」と語りだす。水や肥料をくれ過ぎてもいけない。葉の色やつやを見て、さじ加減を探る。「そうしないと花が荒びちゃう。菊は言葉を発しないけれどね」と繰り返した◆パワハラ防止の取り組みが来春、中小企業でも義務化される。うちは就業規則を改め、相談窓口も設けたから大丈夫―とせず、一人一人が風通しのいい職場づくりを心掛けたい。わが社から自ら命を絶ったり心を病んだりする人を出さない。経営者の腹ひとつだ◆ネットでは誹謗中傷が飛び交い、面と向かっても感情に任せて言葉を発してしまう。受けた人の心がどれほど傷つくかまでは考えが至らない。自戒を込めて思う。モミジの木が北半分から色づくことは決してないし、菊もこちらの思い入れだけではうまく育たない。