政治・経済

放置空き家解体に着手 松本市 倒壊の恐れ 初の略式代執行

略式代執行で解体する空き家から家財道具を運び出す市職員

 松本市は13日、放置すれば倒壊の恐れがある管理不全の空き家1軒を解体する工事に着手した。所有者と相続人がともに死亡し改善の見込みがない島立の住宅を前に市職員が代執行を宣言し、家財道具を運び出した。周辺住民の安全確保のため税金を投じて略式代執行をするのは市内で初めてとなる。

 解体するのは、住人がいなくなり10年以上たつ約50平方メートルの木造平屋だ。壁の一部が崩落し屋根が腐食するなど劣化が著しく、近隣住民から苦情が寄せられていた。市職員は玄関から中に入り、埃をかぶった段ボール箱や雪かき用スコップなどを運び出した。来週から家屋を取り壊し、今月末には更地になる。
 工事費の約130万円を含め、代執行には約240万円の公費がかかる。市は相続財産管理人の選任を裁判所に依頼して土地を売却するなどし、費用の回収に充てる方針だ。
 管理不全の空き家は増えている。市が近所から苦情や相談を受けた空き家の物件数は昨年度128件で、このうち、倒壊の恐れがある物件を含む36件の所有者に改善を求める通知を出した。本年度の通知件数は上半期だけで64件に上っている。
 市内の空き家総数は平成31(2019)年1月時点の調査で2839戸。住宅課の高野敬吾課長は「代執行は最後の手段。管理不全の状態にならないようにする取り組みが重要だ」と話す。市は空き家所有者の意向調査を昨年度から進めており、来年度以降、現地調査や台帳作成を行う方針だ。空き家情報サイト「空き家バンク」の登録数も増やし、移住促進につなげたいとしている。