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山岳遭難「SOS」無線実験 安全な登山へ課題確認

無線機に送られてきた親局からのメッセージを読む登山者

 携帯電話の電波が届かない山岳地帯で、遭難者が無線機で緊急連絡できるようにするための実証実験が12日、松本市安曇の上高地で始まった。市とNTT東日本長野支店(長野市)の共同事業で、登山者が端末を携えて涸沢方面に歩きながら親局と通信し、登山の安全・安心につながるサービスの運用に向けた課題を洗い出している。

 通話はできないが長距離の通信ができる無線技術を使い、梓川沿いの横尾山荘から穂高連峰の尾根沿いにある穂高岳山荘までの7.1㌔区間で実験した。同社員ら5人の登山者が持つ端末には、親局がある横尾山荘から30分おきに「熊が出没」などの簡易メッセージが表示された。端末からのSOS発信に対し、親局にいる社員が「涸沢小屋の先ですか」「歩けますか」などの質問文を送り、登山者が「YES」「NO」の送信ボタンで応答するテストもした。登山者からは「安心感を持ちながら歩ける」との感想が聞かれた。
 山岳遭難時に無線機を使えば、山小屋などを通じて連絡するよりも早く救助の初動対応ができ、魅力的な登山ルートにつながる。ただ、地理的条件で通信しにくい場合は中継機が必要になり、国立公園内に単独で設置するには関係省庁の許認可がいるなど課題も少なくない。
 14日には市職員も登山に参加して実証実験を行い、希望する登山者に無線機を貸し出すサービスの実用化を検討する考えだ。NTT東日本長野支店設備部の小川峻さんは「登山はハードルが高い、と感じている人の不安を和らげる一助になれば」と話している。