地域の話題

松川の重文・銅造菩薩半跏像に光

 松川村中部区町屋の観松院にある重要文化財・銅造菩薩半跏像が、10月9日から九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開かれる特別展に展示される。24日に博物館の研究員が観松院を訪れて搬出作業が行われ、朝鮮半島の新羅で制作されたとされていたこの像が、銅の成分分析や模様の特徴から百済で作られたことが明らかになった。

 九州国立博物館の大澤信研究員(35)が専門の配送業者と訪れ、厳重に保管された収蔵庫から菩薩像を出し、本殿で読経が行われた。
 菩薩像は高さ30㌢で、面長な顔の口元に古式の優美な微笑が浮かんでいる。全身に施されていたとみられる金メッキがわずかに残り、右手だけが火事で欠損して江戸時代に木製で修復されている。大澤研究員によると、腰に下げられたひもの結び方の特徴から、6世紀後半から7世紀前半の間に百済の王都・扶余で制作されたことが「ほぼ確実」だという。
 特別展は「海幸山幸~祈りと恵の風景」と題し、12月5日まで開かれる。長崎県の対馬に観松院の菩薩像とほぼ同じ様式で上半身が失われた像があり、海(対馬)と山(松川村)に離れていた「きょうだい像」がそろって展示される。
 観松院の菩薩像が松川村に伝来した由来が不明なため、国宝にはなっていないが、大澤研究員は「仏像界のスーパースター。何度も火災に遭っているはずなのに、表情や模様がここまできれいに残っているのは奇跡」と話し、地元の信仰の厚さに感謝しながら入念に状態を確認していた。
 観松院の太田健一護持会長(53)は「きょうだいが再会できて仏像もうれしいだろう」と見送っていた。