連載・特集

第二部⑩地場産品を売り込め 自慢の農産物 皆でPR

「いいワインをつくりたい」とブドウを丹精する幸西さん。生産者の思いも農産物の魅力になる

 松本地域には全国に誇れる特産品や名産品が数多くある。農家の高齢化と担い手不足、気候変動、災害...。農業を取り巻く課題が山積する中で、地域農業を発展させ、特産品の知名度やブランド力を磨いていくためにはどうすればいいか、地域の力量が問われている。

 松本地域は肥よくな土壌や昼夜の寒暖差、日照時間の長さなど地理的な優位性があり、良質な農作物を生み出してきた。塩尻産レタス、山辺ぶどう、下原スイカなど、ブランド化され地域で広く親しまれている。一方で全国や海外でさらなる支持を得るには、まだまだ開拓の余地がある。
 例えば塩尻市。レタスの収穫量は2万1540トン(平成29・2017年)と全国トップクラスを誇り、ワイン生産量(同)は出荷量・出荷額共に県内1位を誇る。特に、ワインは県を挙げたブランド化が進められ、広域的な連携が活発化している。
 県は平成25年に「信州ワインバレー構想」を策定。信州ワインのブランド化に向けてブドウの栽培から醸造、販売、消費に至るまでの振興策に力を入れる。塩尻は「桔梗ケ原ワインバレー」を担い、7年前に構造改革特区の認定も受けた。特区では、醸造の免許取得に必要な年間6キロリットル以上の規模が2キロリットルに緩和され、小規模でも免許が取得できる。認定を受けてからこれまでに、市内には特区を利用して開業した3カ所を含め、計8ワイナリーが新たに誕生し、市内には17ものワイナリーが点在する。人材育成も充実し、市が開講している「塩尻ワイン大学」で、ワイン産業を担う人材を広域に輩出している。
 2年前に片丘に創業した「丘の上 幸西ワイナリー」も特区を活用したワイナリーだ。ワイン大学で学んだ幸西義治さん(63)が、妻の美雪さん(62)と営む。遊休農地だった約50アールを自家農園にし、メルロー、シャルドネなど赤白の5品種を栽培する。勤務先を早期退職しワイン造りを始めた幸西さんは「まずはいいブドウづくりを目指している。片丘の特色を生かしたワインをつくっていきたい」と語る。
 市は日本ワインブームにも乗って、世界に目を向けてワインを売り出す戦略を進める。市産業振興事業部の百瀬敬部長は「質の高さに加え、醸造の歴史や栽培に適した土壌を含め、海外でも戦える武器を持っている」と力を込める。
 「五一わいん」を醸造する林農園(宗賀)の林修一社長(67)は「地元のファンを増やすことが、商品価値を高める」と話す。インターネットやスマートフォンの普及で、国内外が自由につながる時代にあって、ワインに限らず、地場産品のおいしさを知っている私たちが、その魅力を広める発信者にもなれるだろう。