連載・特集

第2部⑦生活道路改良待ったなし 深刻な渋滞 暮らしに影

朝夕を中心に渋滞が発生する松本市の国道19号。生活道路を抜け道に使う車が絶えず、歩行者の安全が脅かされている(白板―渚1交差点間)

 松本市内の幹線道路や市街地では、朝夕の通勤時間帯や週末を中心に慢性的な交通渋滞が発生している。渋滞は時間のロスを生み、混雑を避けて生活道路に流れ込む車が増えれば、事故の危険も高まる。市民の暮らしと結び付きが深い道路環境の改善は、快適なまちづくりに向けた大きな課題だ。

 「交差点一つ抜けるにも時間ばかりかかる。何とかならないものか...」。市外からの通勤に国道19号などを利用している40代の男性会社員は、通勤にかかる負担を漏らす。
 市民タイムスが創刊50周年に合わせてホームページで実施している読者アンケートでは、「中信地域で遅れていると思う事柄はあるか(複数回答可)」との質問に対し、約6割の人が「渋滞が激しい」「市街地の道路幅が狭い」と回答した。松本市街地の交通改善に必要だと思うことを尋ねたところ、「交差点への右折レーン設置」と「道路拡幅」を指摘する意見も6割近くに上る。
 松本市が昨年度行った市内交差点の渋滞調査では、62カ所が「渋滞交差点」と判断された。国道19号の「白板」「平田南」、市道やまびこ道路の「出川西」などが渋滞発生のワースト10に入った。交差点の平均通過時間はいずれも2分以上で、中には交差点改良を行った後も渋滞が発生している場所があった。
 市は調査を基に、通行車両の総量を抑制する取り組みに力を入れている。出勤時間の分散化を企業に呼び掛け、自転車の利用促進や、使いやすい公共交通の整備などを進めている。市交通ネットワーク課の丸山博課長は「必要なハード整備はしっかりやっていく」とした上で「長期的なハード対策に加え、ソフト対策も重要。いろいろな交通手段を賢く使ってもらえるような制度設計をしたい」と話す。
 信州大学工学部の高瀬達夫准教授(交通工学)は、松本は東西を移動するための橋が多く、幹線道路が市街地近くを走っていることなど、渋滞が発生しやすい条件が重なっていると指摘する。解消には車の絶対量を減らす必要があり「特にピーク時の車の量を減らすことが大事。一人一人が渋滞の中の一員という認識を持ち、例えばピークを避けて30分早く行動する、そうした意識付けをしてほしい」と話す。
 渋滞の解消は一朝一夕には実現できないが、交通環境の改善は暮らしに密接に関わる問題だ。行政が企業、市民を巻き込んで腰を据えて取り組むことが求められる。