連載・特集

第2部⑥令和の"国体効果"に期待 松本駅再開発 繁栄の礎に

国スポと時期が重なるように開発計画が持ち上がっている松本駅。やまびこ国体時のように地域活性化を促進剤となることが期待される

 信州で再び国体が開かれる―。松本市が主会場となった昭和53(1978)年の第33回国民体育大会・やまびこ国体から約50年を経て、令和10年に第82回大会が「国民スポーツ大会」(国スポ)に名を変え、開・閉会式がやまびこ国体同様に松本市で開催される予定となっている。やまびこ国体では松本市とその周辺の競技施設をはじめ、松本駅前の商業施設やインフラの整備が進んだ。それらの施設が老朽化する中、国スポを前に今井の陸上競技場が約130億円を投じて全面建て替えされるなど県有競技施設はもちろん、松本駅の開発計画も持ち上がっており、かつての「国体効果」の再来に地域の期待が高まる。

 「『駅前が良くなる、新しい街になる』。商店主たちが希望を持って話していた」。松本商店街連盟顧問の木内基裕さん(73)=松本市大手4=は、商店街が上昇ムードに包まれていたやまびこ国体当時を振り返る。
 松本駅に県内初の駅ビルがオープンし、駅前には大型商業施設のイトーヨーカドーが出店した。南北幹線市道「やまびこ道路」も整備された。木内さんは「国体を契機に今の街ができた」と言い切る。
 バブル崩壊、郊外店舗の増加、新型コロナウイルス禍―。やまびこ国体から40年を経て、商業施設の分散化、商店主の高齢化など松本駅前の活力低下は否めない。それだけに、新たな松本駅開発計画への期待は高い。
 JR東日本は平成29(2017)年に発表した10年間構想「NEXT10」で、地方中核都市の駅開発計画の一つに松本駅を盛り込んだ。具体的な内容は明らかになっていないが、構想では「駅を中心とするまちづくりを地域と一体となって推進する」としている。
 今月1日には、市とJR東日本長野支社、アルピコ交通が3者会議を開催した。臥雲義尚市長は官民一体での駅周辺整備に向け「(鉄道、バス、自転車などの)シームレスな交通環境、さらには松本城やあがたの森を結んだ中心市街地のにぎわい、豊かさにつなげていければ」と期待を込めた。JR東日本長野支社の松橋賢一支社長は「いろいろな情報を交換しながら、10年、さらにその先を見据え、同じ思いで話を進めていければ」と、課題を共有しながら駅開発に当たっていく意気込みを示した。
 やまびこ国体を前に銭湯から業態変更したホテルニューステーション(中央1)の小林磨史社長(66)=松本ホテル旅館協同組合理事長=は、コロナ終息後の経済再生に向け、国スポと駅開発の話が同時期に持ち上がっていることを吉兆とみる。「ライフスタイルの変化など『変革の時』が来ている。今の時代に合わせながら、街と調和して発展していく開発をしてほしい」と願う。