連載・特集

第2部⑤街なかの魅力磨こう 商都の隆盛 一体感鍵に

個店と大型店が共存する中心市街地

 松本の中心市街地で2年ほど前から、メーンストリートといわれる本町通りや伊勢町通りでテナント募集の看板が目立ってきた。経営の厳しさなどから後継者問題を抱える個人経営の店は少なくない。飲食・宿泊業を対象に今年実施した調査からは、新型コロナウイルスの打撃も相まって、廃業を考える事業者の増加もうかがえる。一方で、新たな個店の開業はこの状況下でも続いている。

 8年前、深志3にブックカフェ・栞日を開いた静岡市出身の菊地徹さん(35)は、魅力的な個店が多く、大型店とも共存していることを松本のまちの特色に挙げる。店を構える決め手となったまちの印象を「城下町のコンパクトさが程よく、個人店の比率が高くてチェーン店に押されていない。しかも若い経営者が多い」と話す。
 松本での商いを通して肌で感じることは、自分の仕事に誇りを持ち商売敵も高く評価できる商店主の気質と、個店を買い支える生活者の感度の高さだ。合理性や利便性で圧倒的に優位な大型店があっても、個店の商売が成り立つ理由だとする。
 ネット通販が浸透し、コロナ禍により人出が減るなど、実店舗での商売には逆風が吹く。そこで重要となるのは「市商業ビジョン」(令和元~10年度)にも通じる、地元に愛される店づくりや、まちなかの魅力づくりだ。
 時代とともに商店街組合などに属さない店主が増え、組織は担い手不足が課題となる半面、そうした商店主たちが小回りの利く仲間内で催しなどのアイデアを次々と形にしている。松本商工会議所の赤羽勝理事(62)は「まちの中でわくわくする仕掛けは必要。組織に属していようがいまいが、皆でまちづくりを進める時代」と新たな動きに注目する。
 人が集まるランドマークとして、まちづくりの旗振り役を担おうと奮闘しているのが、松本パルコ(中央1)だ。
 昨年はイオンモール松本(中央4)と市街地にある大型店同士で初の共同キャンペーンを打ち出した。今年は近くの老舗銭湯とのコラボ企画に続き、休館中の市美術館と連携した「パルコde美術館」を開催している。市街地活性化を図る「松本まちなかアートプロジェクト」の一環となる。
 松本パルコ店長で、松本商店街連盟副会長でもある伊藤智人さん(51)は、さまざまな連携の試みについて「回遊の起爆剤となり、リアルの楽しさを感じてもらえれば」と願う。「前例にとらわれず垣根を越え、全体で松本を盛り上げていきたい」