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松本の中山考古館 出土品守り90年 歴史に幕 14日から回顧展

昭和32年、新築当時の中山考古館(『ふるさと中山 縄文のむかしから第1集』より)

 昭和6(1931)年、旧中山村(現松本市中山)の中山尋常高等小学校の一室に設置され、32年に中山小敷地内に新築・開館した旧中山考古館が先月、老朽化のため解体された。郷土の出土品を流出や散逸から守り、継承する場所として誕生し、今日まで90年、市域の考古学の発展を象徴し続けた。市教育委員会は考古館への感謝と回顧を目的に14日から、臨時の企画展を近くの市立考古博物館で開く。

 古墳や遺跡が多い中山では既に大正時代に文化財保護の機運が高まり、同尋常高等小の一室に出土品を集めたのが始まり。昭和6年に中山考古館と命名、市と中山村合併後の32年に市立博物館分館として新築され、昭和天皇の弟・三笠宮崇仁さまも見学に訪れた。開館前後より生涯を運営に尽くした初代館長の小松昌之氏は市文書館特別専門員・小松芳郎さんの祖父にあたる。
 外部から購入希望があった地元柏木古墳の出土品を村政を動かして収めるなど地域の宝を守り続け、収蔵品は40年代半ばに9000点を数えた。小中学生の遠足や見学も多く、47年の入館者は3487人に上ったという。61年に現市立考古博物館が新築された後も保管庫として活用された。
 企画展は当初の年間計画になかったが「地元の考古学発展の記念碑的だった場所を記憶にとどめて」(文化財課)と急きょ計画された。往時の写真、台帳、収蔵品など約100点を並べる。同課の百瀬将明主任は「地域の宝を残すことで地域の歴史をつないでくれた先人の思いを感じながら見学して」と話している。14~30日で入場無料。