連載・特集

2021.9.1みすず野

 朝の空気がちょっとひんやり。松本第一高校のそばを通ると、街路樹サルスベリの紅が鮮やかだった。薄いピンクというか白っぽい花を付けた木もある。月が替わった◆俳人・富田木歩の生涯を描いた小説2編、図書館で借りて読んだ。大正12(1923)年9月1日の関東大震災で焼死している。26歳。赤ん坊の時に高熱がもとで歩けない体となった。不自由さと貧しい生活から生まれた十七文字は〈俳壇の石川啄木〉と評価される。ちなみに啄木とは本名の一も享年も同じ◆少年時分に歩きたい一心で松葉づえと木の義足を手作りした。歩くことはできなかったが、俳句への情熱を〈木の足〉にして生きて行こうと、号とする。周りで支える友人らは、啄木をこそ〈歌壇の木歩〉だと言わしめようと励ました。小説だからどこまで事実か分からないけれど、かなわぬ恋も切ない◆今年はコロナの感染拡大で人が集まれないため、大規模な訓練を取りやめる町村が多いと東筑北安面に載っていた。家庭や近所で備えを再点検したい。1・17も3・11も...災害への心構えをそのたび新たにできたら、年に何度あってもいい「防災の日」である。