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学芸員 休館中も奔走 松本市美術館・旧開智学校

教育番組の収録で旧開智学校の見どころを紹介する遠藤さん

 改修のため長期休館している松本市美術館(中央4)と、国宝旧開智学校(開智2)。どちらも工事関係者以外に来館する人はいないが、学芸員は何もしないわけではない。大量の収蔵品や資料の状態調査、文化施設への関心を高める普及啓発など「時間に余裕があるいまだからできること」に集中し、再開への準備に余念のない日々を送っている。

 大規模改修で1年休館する市美術館では、約2500点ある収蔵品の状態確認と整理を昨年度から2年かけて実施中だ。染みや擦れ、絵の具の剥落などの有無や位置を全て点検して調書を作り、優先度に応じた修復計画の作成に役立てる。学芸員で美術担当係長の大島武さんは「こういう機会でないと一遍にできない。表に見えないが、収蔵品を安定的に保存・管理するための大事な作業だ」と強調する。
 耐震化で令和6年秋まで休館する旧開智学校でも11万点ある資料整理を集中的に行う。加えて、各小中学校で保存している古い学校日誌や記念誌などの教育資料の活用策を探る方針だ。学芸員が出向いて内容や点数を調べる手間は負担だが、学校の統廃合などで資料が散逸するのを防ぐ手立てになる。学芸員の遠藤正教主任は「各校の先輩が何を学んだか知るのも歴史の勉強に役立つ。地域のことも多く書かれており、活用メニューを考えたい」と話す。
 館外での普及啓発も重点の一つだ。美術館では6人の学芸員がそれぞれ地区公民館に出向き、地元ゆかりの作家などを紹介する講座を計13回行う。旧開智学校ではこのほど、館内の見どころをクイズ形式で紹介する教育番組の収録が行われた。今後は紹介動画を複数配信する計画で、資料画像データを活用した授業向けデジタル教材のメニューについても考案したいとしている。