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穂高の棚田維持へ継ぐ志 内山さんが福田さんに譲渡 宿泊施設の菜園に

 安曇野市穂高有明の有明山神社近くの山際に、ひっそりと昔ながらの棚田が広がっている。この春までは所有者の内山照久さん(82)が耕作をやめた後も一人で手入れをして守ってきたが、近くにある宿泊施設・穂高養生園の後継ぎの福田太志さん(39)が「志を引き継ぎたい」と施設で買い取り、菜園として維持することになった。

 神社脇の沢から水を引いて開墾された棚田で、約10段あり、下段の田は大きな弧を描く形となっている。沢の浸食で水が引けなくなり一時はポンプで揚水していたが、採算に合わず、獣害もあって十数年前に耕作はやめていた。それでも「先祖伝来の棚田を荒らせない」と内山さんが田起こしを続け、毎日手入れしてきた。
 手入れの行き届いた棚田を下段から見上げると、雄大な有明山と重なって安曇野の原風景を絵に描いたような美しさとなる。このような昔ながらの棚田はほとんどない。
 穂高養生園は社会生活で疲れた心と体を癒やす宿泊施設で、森林散歩や温泉、セラピーなどを提供している。玄米菜食で自家栽培の無農薬野菜を使っており、棚田で野菜を育てるとともに、宿泊客に収穫体験をしてもらうなどの活用を考えている。
 現在は猿などの対策で中段の田を電気柵で囲い夏野菜を育てていて、福田さんは「そこに営みがなければ維持できない。獣害がなければ下段まで菜園を広げたい」と話す。内山さんはその様子を見て「良くやっている」とほめたが、雑草との闘いは至難で、福田さんは「これからが正念場です」と表情を引き締めていた。