連載・特集

2021.7.24みすず野

 松本っ子はこの歓喜を待っていた。松商が4年ぶりの頂点。井上でお祝いの紅白まんじゅうが配られた。前身の松本商業が初めて全国大会に出たのは大正9(1920)年。まだ甲子園球場はなかった。いらい夏36回、春16回の足跡を球史に刻む◆「古豪復活」の見出しが躍った平成3(1991)年春。2回戦で昨夏の覇者・天理を破って勢いに乗る。入社2年目の筆者も、勝ち進むごとに盛り上がる熱気をひしひしと感じた。試合中は街の人通りが絶え、ちょうど県議選の舌戦さなかで選挙カーも「お願い」の声を潜めた◆その快進撃を右腕で支えた上田佳範さん(47)が先日、本紙のインタビューに応え、準優勝のメダルを掛けてもらうときに「下を向いていた」と後悔していた。その後も数々の修羅場をくぐった野球人の言葉は重い。「胸を張れ」と。選手諸君は甲子園を目指せなかった昨年の先輩の分も、ひのき舞台で伸び伸びと戦ってほしい◆5回目出場の昭和3(1928)年に全国制覇を果たす。平成、令和と続く「3」の巡り合わせに市民の期待が高まる。すったもんだの東京五輪も始まった。暑い、熱い夏になりそうだ。