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松本市有林の針葉樹伐採 輸入材不足で国産材需要増

市が主伐を計画する奈川の市有林。林道周辺一帯のカラマツを全て切り出す

 松本市は本年度、針葉樹の市有林の主伐に乗り出す。切って使い、植えて育てる「人工林のサイクル」を回し、伐採した木材を市場に出す。戦後に植えたカラマツなどが育って利用時期を迎えていることに加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で輸入材が供給不足になり、国産材の需要が高まっている状況が実施を後押しした。

 本年度は奈川の市有林のうち林道に近い2ヘクタールの森からカラマツを全て切り出す。植林から50年を超えて伐期を迎えているため木材にして売却し、収益を伐採費などに充てる。松本の市有林面積は1万1991ヘクタールで、約半分が針葉樹だ。来年度以降も搬出しやすい区域を選んで年2ヘクタールずつ10~15年かけて伐採し、順次、跡地に植林や下刈りをして再び森を育てる計画だ。
 市は当初、昨年度の主伐開始を予定していたが見送り、本年度は一転して実施を決めた。その決め手となったのが、市内の木材卸業者が「異常すぎる状況」と懸念する木材需給のひっ迫だ。コロナ禍で米国の住宅需要が高まり、世界的なコンテナ不足もあって輸入材が減少。昨年度まで低迷していた木材価格が高騰している。市森林環境課は「ここにきて国産材の需要が高まり、市場に出すには良いタイミングだ」とみる。
 ただ、主に合板用となるカラマツは市場に出すと地元には流通せず、市民が目にする機会はない。安曇野市は市有林の間伐材を庁舎の壁材やベンチなどに使い、地産地消の機運を高めている。松本市森林環境課は「基本的には市場向けだが、取引先の確保や公共建築物への活用にも積極的に取り組みたい」としている。