連載・特集

2021.6.22 みすず野

 それぞれに合った良い暮らしをつくることが、人生の目的の一つだとしたら、コロナ禍による生活困窮は良い暮らしどころでなく、そこから遠ざかる事態だ。家賃を公費で補助する住居確保給付金の新規支給件数が昨年度、全国で13万5000件に上った(厚労省調べ)◆この数字、その前の年度の34倍に当たり、コロナ感染拡大によって、住まいを維持することすら困難な人がいかに増えたかを裏付ける。生活保護、生活資金貸付制度の申請者もかなり増えているようで非常に深刻。中信地域はどうだろう、気になる。コロナは貧しい人をいっそう貧しくしてしまった◆そんな状況下だけれど、良い暮らしを築こうとの思いは失いたくない。良い暮らしというのは、お金のあるなしではなく、おのおののサイズに見合った、精神性の深い生活のことで、松本ゆかりの民芸運動創始者・柳宗悦は『手仕事の日本』(岩波文庫)で述べている。「人間の真価は、その日常の暮しの中に、最も正直に示される」と◆日本人は本来、簡素を好み、自足して生きる暮らしであったし、一つ二つ気に入った物を大切に使ってきた。暮らしぶりを見直そう。