地域の話題

家族支えたミシン譲ります 穂高の等々力さん 紳士服生地と共に

業務用ミシンの前に座る喜久子さん。手元にあるのがスーツ用の生地

 両親の思い出のミシンと洋服生地、差し上げます―。安曇野市穂高の等々力さつきさん(66)が、紳士服製造業をしていた亡き父・俊明さんが残した業務用のミシンと、スーツ用の生地のもらい手を探している。ミシンは、俊明さんを手伝っていた母の喜久子さん(93)も愛用し、いずれも捨てるに忍びないと、「活用してくださる人に」と呼び掛けている。

 俊明さんは平成14(2002)年に78歳で亡くなるまで、60年以上、紳士服を専門に仕立てていた。戦時中に東京に出て洋裁の技術を学び、終戦後、穂高に戻り「等々力洋服店」を開店した。当時は洋服の需要はまだ少なく、生計を立てるには厳しい時期があったものの、喜久子さんも仕立てを手伝うなどして俊明さんを支え、夫婦二人三脚で切り盛りしてきた。
 俊明さんのセンスで仕入れた生地で作るスーツは、おしゃれで着心地がよいと評判で、病気で入院する直前まで注文が途切れなかった。俊明さんが亡くなった後も、喜久子さんは近所の住民らから頼まれて、ズボンの裾上げなどをこなした。
 さつきさんは今年3月、学校教諭を退職したのを機に自宅の整理を始めたが、「私たちを育てて、生活を支えてくれたのが、両親の腕と道具たちだと思うとどうしても捨てきれない」と、ミシンと生地は譲ることにした。業務用ミシンは動力が大きいため、自主製品を作る施設などで活用してもらうことを想定している。生地はスーツ約40着分ほどあり、どれもウール地の上等な物だ。
 問い合わせは等々力さつきさん(電話080・3398・3778、午前9時~午後6時)へ。ミシンは大きく重いため、引き取りに来られる人に限る。