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医師と歌人の業績を仲間が冊子に 朝霧社主宰の山村泰彦さん

社友らが作成した冊子を手に喜ぶ山村さん

 山村小児科医院の院長で、短歌結社・朝霧社を主宰する山村泰彦さん(92)=松本市村井町南1=を紹介する冊子『山村泰彦の人と歌』が発行された。医師、歌人としての業績と人柄を知ってもらおうと、朝霧社の社友・丸山正文さん(74)=安曇野市明科七貴=らが作成した。歌人や医師ら46人の文と山村さん自身の半生記を載せ、1冊にまとめた。

 山村さんは父・湖四郎さんが創設した朝霧社を引き継ぎ、医師としては地域医療に貢献してきた。冊子はA4判117ページで、足跡の紹介とともに、趣のある山村家の庭園の写真を載せており、グラフ誌としても楽しめる。
 多くの歌人が6冊ある山村さんの歌集から作品を取り上げた。診療の場面を詠んだ「ふくませしロタワクチンをみどり児が飲み込むまでをわれら見守る」について歌人の三井修さんは、読者も「われら」の一人になり、固唾を飲む気持ちになると評した。小さな命へのまなざしは動物にも向く。「いづこから来しや小さきむささびが池の端にて水を飲みをり」について歌人・伊藤一彦さんは「いのち持つものへの愛情を示している」と記した。
 緊張感のある日々を庭や身近な自然が支える。「乱れ咲く萩に小道を奪はれて今日の散歩の踵を返す」などを引く歌人・香川ヒサさんは、ありのままを受け入れる態度や自然への敬虔さを感じ取った。
 半生記の中で山村さんは自宅のケヤキについても触れた。歌集名に用いるほど思い入れのある巨木だが「倒れたら困る」との声を聞き「わが生あるうちに」と切る決断をした。伐採する人が掛けてくれた言葉にこみ上げるものがあり、近作で「杣人に手入れのよきを褒められて思はず不覚の涙をこぼす」と詠んだ。
 山村さんは冊子を企画した丸山さんらに感謝し「面はゆい」と喜ぶ。冊子は希望者に無料で進呈する。問い合わせは丸山さん(電話0263・62・4096)へ。