連載・特集

2021.5.20みすず野

 松本市出身の映画監督・降旗康男さんが亡くなって、きょうで2年になる。この間、テレビの日本映画専門チャンネルで作品等を見直す機会があり、この人はエリートなのに、そういうところはみじんもなく、職人肌の監督だった、とあらためて感じた◆生前二度お会いし、最初は代表作「鉄道員(ぽっぽや)」公開後の平成11(1999)年秋。同級会に出席するため帰郷した折、時間を割いていただいて、じっくり話を伺い、インタビュー記事にまとめた。「一作一作、これが最後と思って作っています」。静かに、かみしめるように語られ、カメラを向けると、そこに正座された◆高倉健さん(故人)とコンビを組み、日本映画史に残る作品をいくつか仕上げた。最高傑作は「駅 STATION」と思うが、「冬の華」「あ・うん」「ホタル」なども良かった。コンビにはもう一人いて、撮影監督の木村大作さん。戦前の東京が舞台の「あ・うん」の四季折々の美しさは、木村さんの腕があってこそ◆その木村さんが「降さんの頭の中は、俺が一番わかっているという自信があった」と、思い出をしみじみ話されたのを新聞で読んだ。