連載・特集

2021.5.2みすず野

 えんじ色の日よけのれんが目を引く。江戸時代の商家か、造り酒屋みたいだ。「城町文庫」と染め抜かれている。松本城と旧開智学校を結ぶ市道沿い。物販・交流の場がオープンしたと紙面で見て、散歩がてら寄ってみた◆土間と軒先を小さなビジネスに開放し、日替わりイベントも催したいという。有料スペース(30分200円~)に椅子とテーブルを置く。面白そうな本も並び、説明書きに導かれる未知の空間は「注文の多い料理店」のよう。わくわくした。歩き疲れた観光客が一息つける場にもなろう◆かつて通りには雑貨や文房具、菓子などの店が軒を連ね、美容院や食堂もあった。八百屋や精肉店...少し歩くと魚屋で夕飯の食材がそろった。現在の開智小学校の場所が昭和30年代まで信大付属病院だったと知る世代は限られる。いつの間にか角のタクシー会社もなくなり、赤い丸ポストが往時の面影を伝える◆伊勢の「おかげ横丁」とまではいかなくても「国宝が二つ見える通り」をにぎやかな"参道"にできないか、と夢を描く。国宝校舎は今月末で耐震工事のため長期の休館に入る。再開予定は令和6年秋。まだ3年半もある。

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