連載・特集

2021.5.19みすず野

 風俗習慣というのは、長い歳月を要して築かれたので、同じように長い月日の中で変わってゆくのかと思いきや、いまの時代は激変する。スマホによる情報収集と発信がその最たるものだが、葬式の簡素化もそうである◆その家において、人が一人亡くなるのは非常に大きなことで、隣組は丸1日どころか3日もかけて協力を惜しまなかった。それだけ故人は隣近所に世話になり、また世話もした。葬儀は故人との永遠の別れを惜しみ、悲しむ厳粛さがあり、きちんとやってやらないと故人が成仏できない、との思いもあった◆いま葬式はすべて業者が取り仕切り、隣組や親戚が関与する余地がない。故人は大概長生きし現役時代は遠い過去のこと、しかも隣近所と直接関わりのない勤め人、と来れば、故人の思い出話一つないのである。葬儀が形式化するのは、当たり前と言えば当たり前◆だが、長年の慣習や家柄もあるから、そう簡単にはと考えていた。とんでもない。コロナ禍が加勢し、一気に変わった。「火葬場で手を合わせて終わり。葬儀自体がなくなるんじゃないか」と、知人は言った。まさかと思うが、あり得るかも知れない。