連載・特集

2021.5.18みすず野

 「松本紬に命を吹き込む」の見出しで、安曇野市、松本市の女性有志5人が「あづみの紬プロジェクト」を立ち上げ、松本紬の風合いを生かして洋服、バッグなどをこしらえ、販売するとの記事が本紙に載ったのは先月。伝統工芸品の再興を手作りで、ということだ◆松本の街では例の「工芸の五月」が展開されているが、コロナ下では、こうした伝統工芸や催しに関心が薄れるのは否めない。出歩きにくいうえ、生活にゆとりがなくなってしまったからである。しかし、どんな状況であれ、暮らしを楽しむ思いはなくしたくない。昭和の高度経済成長、平成バブルを経験した年配者は、それを身をもって知る◆コロナとは真逆の時代だったにもかかわらず、経済発展、繁栄にうつつを抜かし、大量生産大量消費、古いものや非効率なことは捨てて顧みず、日々の暮らしを楽しむなどという味わい深さは、どこにもなかった。その反省から伝統工芸等に目を向け、今風の生活の中に生かそう、としたのではなかったか◆コロナは生活自体を脅かしているが、暮らしをささやかに楽しむことはできるし、製作者を支援する姿勢も失いたくはない。