連載・特集

2021.5.16 みすず野

 京都府生まれの雌で、もうすぐ満1歳。そう知ると余計に親しみが湧く。長旅お疲れさま。国の特別天然記念物・コウノトリ1羽がこどもの日、安曇野市内の水田に降り立った◆兵庫県豊岡市の研究機関・県立コウノトリの郷公園に写真を送ると後日、担当者から「心配しておりましたが、長野県での元気な姿が見られて安心しました」と返信が届いた。滋賀県長浜市で4月26日に目撃され、以後の情報がなかったという。どこにいたのよ。一人旅に出たわが子を遠くで見守る母親のよう。ほろりとした◆絶滅した種の野生復帰―保護の歩みは半世紀以上に及ぶ。平成17(2005)年に初めて5羽が野に放たれ、国内の個体数は29年に100羽、昨年200羽に達した。ひなの誕生が7府県で確認されている。公園のホームページで教わった。旅が定着の地を探す移動だということも。ここなら一年じゅう餌が取れるぞ◆愛鳥家が「安曇野でも近い将来...」と話した。コウノトリは雌雄が共同で巣を営み、抱卵してひなを育てる。選ばれるための環境づくりに何が必要で、それは可能か。どだい無理か。地域で考えてみる価値はありそうだ。