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北ア南部の山小屋が苦渋の値上げ コロナ禍で経営苦しく

登山者の安心と安全を守る山小屋の明かり(写真は涸沢)。役割を担い続けるため多くが値上げする

 北アルプス南部の山小屋の大半が今シーズンから、宿泊料を1~3割ほど値上げする。1泊2食付きで1人1万3000円が主流だ。多くの山小屋が春の大型連休に合わせて営業を始めるが、新型コロナウイルスの感染予防で密集を避けるため、今季も定員を抑えざるを得ない。収益の減少が続けば、登山道の整備など山小屋が担う役割も維持できなく恐れがあるため、苦渋の決断をした。

 北アルプス山小屋協会と環境省中部山岳国立公園管理事務所は3月下旬、「山岳利用についてご理解・ご協力のお願い」と題した文書を公表した。山小屋は登山者の安全を確保し、自然環境を保全するなど役割は多岐にわたるが、その費用は事業収益の一部と労務の負担で賄ってきたと説明した。コロナ禍で昨季の経済的な損失は極めて大きかったとした上で「山岳の利用を持続可能なものとしていくため」とし、宿泊料の値上げや利用者負担の仕組みづくりを検討するとしていた。
 山小屋の宿泊料は消費増税などの影響もあり、徐々に上がってきた。今回の値上げについて、常念小屋はコロナ禍の影響に加え「(ヘリコプターによる)荷上げ代も上がっている」と説明する。宿泊定員を抑えれば収益は減り、経営の厳しさは続く。槍ケ岳山荘は今季も定員を半数程度の削減する。4代目の経営者・穂苅大輔さん(35)は「このままでは山小屋が果たしてきた役割に手が回らなくなる」と値上げに理解を求める。感染拡大を防ぐため、今シーズンも緊張感のある営業が続く。北アルプス山小屋友交会の山田直会長は「無理のない登山計画と体調管理の徹底を」と呼び掛けている。