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江戸期の町割 詳しく記録 塩尻の奈良井宿絵図 市文化財に

天保14(1843)年の奈良井宿職業明細図。伝馬・人足の役割を記号で表した(個人蔵、上問屋史料館)

 塩尻市教育委員会は、奈良井宿に関する近世の絵図6点を「奈良井 宿絵図」として市有形文化財(古文書)に指定した。家主名や職種、役割などを記した「宿明細図」が2点、建物の間取りなどを記した「宿割図」が4点で、17世紀後半~幕末期の様相を知る学術上貴重な史料とされる。

 絵図は奈良井区と2個人が所有する。うち、宿場内の上問屋史料館が所蔵する3点と、区所有で楢川歴史民俗資料館にある2点が公開されている。
 上問屋史料館にある天保14(1843)年の「奈良井宿職業明細図」(縦約0・3メートル、横約2・5メートル)には各家の商売のほか、課役の伝馬役(馬に関わる役)は△、人足役(荷物を背負い歩く役)を○と表して手配した様子が分かる。
 製作年代の異なる複数の絵図を見比べると、天保8年の大火後には「明地(空き地)」が多くなり、建物の再建後の間取りが変化することが分かる。
 史料館を管理する手塚琢朗さん(31)は「代々受け継がれてきたもので、指定により一層大事にしたい」と話す。土川修区長(68)は指定を「何百年も記録として残るのがたいしたもの。先人の宝」と受け止めた。
 市教委によると、6点もの宿場の町割などに関する絵図が残る例は全国的にも少ない。昭和53(1978)年の奈良井重要伝統的建造物群保存地区の選定や、平成19(2007)年の手塚家住宅、令和2年の旧中村家住宅の重要文化財指定で基礎資料の役割を果たした。
 市指定文化財は58件目で、国・県によるものを含めると100件目となった。