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『安曇野風土記Ⅳ』刊行 安曇野の美術 奥深さ紹介

このほど刊行された『安曇野風土記Ⅳ 安曇野の美術』

 安曇野市教育委員会はこのほど、ふるさとの魅力や文化を発信するシリーズ『安曇野風土記』の第4弾『安曇野の美術』を刊行した。市教委の職員と市内の美術館学芸員が調査した成果をまとめたもので、近世から現代までの地域の美術を多角的に紹介しており、郷土の新たな魅力を発見できる一冊となっている。

 ▽安曇野の狩野派▽戦争と安曇野の芸術家▽写真と田淵行男▽工芸と髙橋節郎―など全9章で構成されている。地元出身者だけではなく、戦中・戦後に都会から疎開してきた作家や、北アルプスに魅せられて通った山岳画家・写真家などにまで対象を広げ、作品や功績を丹念に拾い集めた。
 ともに院展に入選し、中央画壇で活躍した日本画の保尊良策(穂高出身、1896~1953)、山口蒼輪(堀金出身、1913~50)、塩原光旦(池田町出身、1906~89)は、戦争などをきっかけに帰郷後、地元の美術振興に大きな功績を残した。遺族が保存していた作品やエピソードとともに紹介している。
 美術愛好家の役割にも注目する。漆芸家・髙橋節郎(1914~2007)の父親の髙橋太一は自身も絵を描き、浅間温泉に疎開していた画家の石井柏亭(1882~1958)や中村善策(1901~83)と交流を深めることで地元に文化を根付かせた。
 市教委文化課の担当者は「それぞれの学芸員の研究成果をまとめて紹介する機会になった。安曇野の美術に興味を深める入り口として、活用してもらいたい」と話している。
 A5判、オールカラーの300ページで約250点の作品を掲載している。1冊800円(税込み)で、市内の美術館・博物館、交流学習センターなどで販売する。問い合わせは市文化課(電話0263・71・2463)へ。