連載・特集

2021.4.4 みすず野

 「最古」と呼ぶことに慎重にならざるを得ない。国宝犬山城(愛知県犬山市)天守の建造時期を1585~90年とする調査結果が全国紙で報じられた。国宝松本城は松本市の公式見解だと1593~94年◆もっとも松本城の「最古」には「現存する五重六階の天守としては」が付く。関ケ原の戦い(1600年)以前に建てられた大天守の威容と郷土の誇りは少しも揺るがない。とは言え「現存天守で最古」と自慢したい、われわれ市民には何とも悔しい「3年差」である◆年輪年代法で犬山城の部材を測ったという。伐採年が特定できる。かつて木曽で聞いた話だと、過去2600年間の夏の降水量の変動までもが年輪の幅から分かる。戦国時代の古風な様式を伝える丸岡城(福井県坂井市)天守の年代が、江戸開府後の1624~44年とされたのは一昨年だった。日進月歩の科学技術が歴史の空白を埋めてゆく◆天正18(1590)年に豊臣秀吉が小田原を攻めた。その後に秀吉から松本赴任を命じられた石川数正は、犬山城の天守完成を見たり聞いたりしただろうか。「最古」にこだわらず、地域の宝への関心がますます高まるといい。