連載・特集

2021.4.30 みすず野

 紀元前のローマの政治家で、哲学者のキケロが、こんな言葉を残していることを最近知った。「個人的には、農夫の暮らしこそ最高の幸せのように思える」「農園で過ごす喜びは、(中略)実際には年を取るからこそ面白さがわかり、ますます楽しくなる」◆新刊『2000年前からローマの哲人は知っていた 幸せに年を重ねる方法』(フリーマン編、文響社)をたまたま手にしたのだ。古今東西、人は年齢を経ると、このような"場所"にたどり着くのだろうか。土手焼きに始まった農作業は、春耕から田に水が入る時季に移り、田植えを待つ。畑では野菜の定植が本格化する◆ひと昔前まで、農業の未来は暗いと言われ続け、営農者の高齢化はどんどん進んだ。その減少に歯止めがかかったわけではないけれど、農業の役割や食に対する関心が高まってきたのは確かだ。専業がたやすくないとすれば、「半農半X」はどうだろう。農に親しみつつ、Xは別のやりたいことをやる◆逆に言うと、やりたいことをやりながら、田畑を耕し、わずかでも食料生産、地域再興のお役に立つ。定年後は、それが「最高の幸せ」になるかもしれない。

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