連載・特集

2021.4.13みすず野

 自分を信じ、それまで積み重ねたゴルフ人生のすべてを懸けたかのような、最終18番ホールの第1打が、米ジョージア州オーガスタの真っ青な夕空に、吸い込まれるように伸びていった◆そしてバンカーショットが、ピンそばに寄った瞬間、夜半からずうっと中継に見入っていたファンは、その歴史的勝利を確信した。85年の伝統を誇り、毎年同地で開催される男子ゴルフ4大メジャー大会の一つ、マスターズで、松山英樹選手が悲願の初優勝を果たした◆名だたる日本のプロが挑み続けて、手にすることが出来なかった、メジャー制覇の夢。松山もマスターズだけで10回目の挑戦だった。道のりは決して平坦ではなく、栄冠に手が届きそうで届かず、ここ3年半は米ツアーの優勝からも遠ざかっていた。世界のトッププロが顔をそろえ、難しいコース設定のうえ、森がつくる気まぐれな天候に翻弄される◆体力、技術はもちろん、正確な読みと強靱な精神力、運も味方につけないと勝てない。松山は最後の数ホール苦しかった。「アーメンコーナー」ではないが、ファンはゴルフの神様に祈った。この快挙、長く語り継がれるにちがいない。