連載・特集

2021.4.10みすず野

 京都から新幹線だと30分で名古屋に着いてしまう。そこで、柿の葉で包んだ押しずしを乗車前に買うのが常だった。これなら「しなの」で独酌の続きが楽しめる。ワインかウイスキー&氷があれば、なおいい◆幕の内や釜飯、みそカツ...好みもあろうが、土地の特産や名物を選ぶのも旅の楽しみだ。友達とシューマイを取り分けたり、一人旅でうなぎ弁当と張り込んだり。思い出が次の旅の空へといざなってくれる。きょうは4と十で「弁」の字になるなどとして駅弁の日。業者でつくる団体が平成5年に定めた◆いつからだろう。コンビニでサンドイッチを買って飛び乗るようになったのは。電車の窓が開かなくなって駅の立ち売りが消えた。目的地に早く着くので、ゆっくり食べる余裕もない。時代とは言え、旅情という言葉が遠く感じられて寂しい。CMの文句ではないが「そうだ!駅弁を買おう」と思った◆松本駅の売り場は改札を入って正面左にある。800円の山賊焼き弁当にした。ふたを取ると、おなじみの鶏の唐揚げに郷土色あふれる長芋の天ぷらや、わさび漬けも添えられている。小1時間の旅気分を味わうことができた。