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松本市の「城西」何と読みますか? 正式名称は「じょうせい」

市内の電柱で「城西」の住居表示が載る看板。「じょうせい」と読むのが正しい

 松本城の西側にある松本市「城西」の正式な呼称が、地元住民を除きあまり知られていない。「じょうさい」「しろにし」と呼ぶ人が多いが、「じょうせい」が正しい。長年松本で暮らす人も勘違いして読んでしまう背景を調べると―。

 現在の城西に当たる地区は、江戸時代は蟻ケ崎村に属した。明治期に入り、旧城下町の中で各地区名が付き、城西町が誕生した。「松本城の西側に位置する」(松本市市民課)ことが町名の由来だ。
 松本市制は明治40(1907)年に施行され、同地区はその一部となった。昭和40(1965)年、市内で初めて実施された住居表示で、同地区は城西と定められた。
 「しろにし」がなぜ「じょうせい」に変わったのか。市市民課に聞いたが、理由は分からなかった。
 城西町会の二村清町会長(75)=城西1=は、「じょうせい」の呼び名が定着しない背景として、現在も町会名や病院、薬局などの呼称に「しろにし」が使われている地域事情を挙げる。「地元の人は『じょうせい』の読み方を間違えないと思う。ただ『しろにし』で親しんできた年配者が多い」と話す。
 日本語学を研究する信州大学人文学部の山田健三教授は「城の西に位置する地域への思い入れを言葉で表した際の差」を指摘する。
 和語の「しろにし」と漢語の「じょうせい」を比較すると、人は音の響きで「城の西」という意味合いを感じやすい前者に親しみを持つ。「じょうさい」の場合は、方角の「東西南北」の「西」の音から類推して読む。
 一方の「じょうせい」。響きでは「情勢」「醸成」などほかの単語が思い浮かび、瞬間的に「城西」とは結び付きにくいという。
 平成の大合併以降、事務的な地名で統合し、地名から歴史を振り返ることが難しくなった地域も出てきている。山田教授は「地域に古くから伝わる地名の呼び名や歴史を大切にしてほしい」と話している。