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田淵行男記念館の湧水池が枯渇 地下水位の低下顕著

干上がった田淵行男記念館の湧水池(2月25日撮影)

 安曇野市豊科南穂高の田淵行男記念館で、敷地内の湧水池が干上がった状態が1カ月半続いている。市によると、地下水位と湧水量を計測している市内14カ所のうち、1月は豊科南穂高から穂高の一部地域にかけた5カ所で、水位の最低基準となる「監視値」を下回った。深井戸から採る上水道に影響はないが、湧水が欠かせないワサビ農家からは不安視する声が聞かれる。

 市環境課によると、1~2月はもともと地下水位が最も下がる時期だが、昨年秋~冬の降水量が少なかったことがさらに影響したとみられる。記念館を含む一帯は湧水場所の上流に当たり、水位低下が影響しやすい。平成20(2008)年には同館南の観測所の湧水が枯渇しており、監視値はこの時の水位が基準となっている。
 田淵行男記念館によると、記念館の湧水池は昨年12月下旬から徐々に水位が下がり、1月20日に完全に干上がった。周辺の水路にも水はなく、曽根原豊館長は「例年は冬でも10センチほど水深があった。いつ水が出てくるのか」と不安がる。
 近隣のワサビ農家は「例年の半分以下。畑の中を流れる堰も勢いがない」と嘆く。この地域でのワサビ栽培を諦めた農家もおり、3年前に栽培をやめた男性(55)は「祖父の代からの畑だったが、枯れるワサビが多くなり採算が合わなくなった」と語る。
 市環境課によると、市内の地下に蓄えられた豊水期の地下水量は昭和61(1986)年は55・75億トンで、水田による涵養量の減少に伴って平成19年には54・5億トンになり、以降横ばいだ。梅雨と秋の降水量が少ないと、蓄えがない分冬の地下水位が低下するという。例年の傾向では3月以降に水位が回復するとみられ、同課は「今後も水位を注視し、市のホームページなどで情報を発信・更新していく」としている。

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