連載・特集

2021.3.8 みすず野

 東日本大震災の衝撃が、いっそう増してしまったのは東電福島第1原発の事故であった。それは当事者や周辺住民には、あまりにむごい仕打ちとなり、直接的な被害のない私たちにとっても原発、電力、電気頼みの生活を考え直さざるを得ない、大きな問題を投げかけるものだった◆10年たったが、その廃炉作業はトラブル続きで、予定どおり進んでいない。国は廃炉に8兆円、除染・中間貯蔵に6兆円など22兆円の巨費を見込み、廃炉費用は東電が負担するとのことだが、結局電気料金アップの形で利用者が払わされる。膨らむ賠償費用もそうだろう◆実際いつ廃炉が成り、賠償が済むのか、見通しは立っておらず、事故の傷痕はあまりに深い。避難指示が出た地域は、事故前約8万8000人が住んでいた。現在は1万5000人ほどに激減。福島県全体の人口もこの10年間、目を覆うばかりの右肩下がりである◆廃炉が完了しない限り、事故は終わらないのだが、すでに風化してしまったのも事実だ。原発ゼロ社会を目指し、再生可能エネルギーへの転換を進めねば。でないと、大事故から何を学んだのか、ということになってしまう。

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