連載・特集

2021.3.5みすず野

 幸せに長く生きられることを目指して、医学も科学も文明も発展を遂げてきたに相違ないのに、そしてわが国は、世界に冠たる長寿国家を実現したというのに、その長寿がいまや大きなリスクになってしまう。何たる皮肉だろう◆長生きすればするほど、お金がかかり、頼れるのは国でも家族でもなく自分一人。資金(貯蓄)がなければ施設にも入れず、孤独死すら覚悟せざるを得ない。せめて公的年金だけは減らしてもらいたくない、と思っても国の財政が危うい。こんな時代がやって来ようとは、ほとんど誰も予想していなかった◆「トヨタ世界生産最高へ」「ソニー全事業で上方修正」といった大きな見出しが、新聞紙面を割き、巨大企業はコロナ禍から一転、回復の兆しを見せる。しかし、私たちの暮らしは弱り目に祟り目、老後不安が増しているのは否めない。「結婚、子育て、家、年金暮らし...親が持っているものを私は何も持っていないです」◆知り合いの非正規で働く、40代のシングル女性が打ち明けてくれた。親を「親世代」、私を「私たち」と言い換えてもいい。老後不安を減らす政策の実現が、何より求められている。

連載・特集

もっと見る